スリランカ派遣JICA青年海外協力隊(伊藤悠理氏)活動報告

私は2年間スリランカ・キャンディにおける初代ラグビー隊員として活動を行いました。キャンディはスリランカ第二の都市であると同時に、街全体が世界遺産に登録されています。有名な私立学校が多くあり、それぞれ強豪ラグビーチームを持っています。そのため、キャンディではラグビーは人気のあるスポーツですが、弱小校には指導者やボールなどの道具が不足している状態でした。

最初の半年
着任当初は、まずは自分の存在を知ってもらうことから始めました。1990年代にラグビーの指導をしていた協力隊員の岡田鉄太さんという方がいたので、岡田さんの当時の同僚にあったり、試合会場に足を運んでコーチやレフリーの知り合いを増やしていきました。同時に、現地での生活に慣れていったり、キャンディやスリランカのラグビー情報を入手していきました。この活動が2年間の基礎になったと思います。

1年目
指導するチームを見つけてからはひたすら練習に足を運び、指導しました。正式な指導者がいないチームでは、ハイタックルや逆ヘッドなど危険なプレーが多く見受けられたので、安全なタックルを重点的に指導しました。また、子供が練習道具を無くしたり、何故か誰も練習に来ないなど、青年海外協力隊としてありがちな苛立ちや憤りを一通り経験しました。今思うと私自身の指導力、語学能力の不足や、お互いの信頼関係が築けていなかったことも原因でした。それでも続けられたのは、子供たちや指導者が全員ラグビーのことが好きだったからだと思います。程度の差はあれど、みんなラグビーに関わっていることに誇りを持っていました。また、一年間の大会シーズンや、学校の試験期間、現地の行事などのラグビーのできる期間やできない期間を把握し、2年目に向けてどういった支援やイベントが有効かを検討することができるようになりました。

2年目
丁度一年経ったころに、7人制女子日本代表選手による、現地の子供たちに向けたラグビークリニックを企画しました。今までにやったことがないものだったので、尻込みしていましたが、先輩のラグビー隊員からも助言をうけ、開催に踏み切りました。結果としてクリニックは無事に成功し、スリランカの人々からも好評でした。このイベントのおかげで、前例がないことにも挑戦してみようという意欲が生まれました。そして、岩手県・釜石市との交流プログラム、ラグビー隊員としてインドに派遣されている徳武隊員の指導するチームとの交流試合、2回目のラグビークリニックなどのイベントを開催することができました。特にインドとの交流試合は準備が非常に大変でしたが、私自身初めてヘッドコーチとして選手を選抜し、チーム作りを行うなど貴重な経験をすることができました。

上記の目立つような活動と並行して、地道な普及・育成活動も行いました。時には2時間の練習のために片道3時間のバスに乗って教えにいきました。初めてラグビーボールに触れる子供達が大勢いる中で、当初はどうにかラグビーをさせようと苦戦していましたが、次第に鬼ごっこや馬跳びなど、子供達が楽しめつつ、ラグビーの動きにつながる遊びや運動を取り入れ、ついでにボールを使って遊ぶという一連のプログラムを作ったことで、私自身も楽しみながら練習できるようになりました。

2年間通して最も指導したSri Lahura Collegeのチームは大きく変わりました。タックル・パスの基礎を徹底的に固めました。最初は嫌々タックルの練習をしていた子供達でしたが、練習試合でタックルに入れるようになっていることが分かると自信をつけていき、積極的にタックル練習をするようになりました。基礎ができてきたら相手をつけるなど試合に近い状況を作り、判断力を養いました。最終的には我慢強く格上にも勝てるチームになりました。U19のリーグ戦では来シーズンの上位リーグ進出を決め、U16の大会で優勝することができました。子供達と良い信頼関係を築くことができたと思います。小さい体でも果敢にタックルする彼らを誇りに思っています。

スリランカはラグビー隊員が2名派遣されている唯一の国でした。ゴールに派遣された森隊員とは任地は離れていましたが、会うたびに活動の悩みや、ラグビーについて話し合いました。これが非常に心強く、数々のイベントも一人ではできなかったと思います。
同僚たちの多くは私よりも年上でしたが、私を対等に扱い話をよく聞いてくれました。おかげで2年間で沢山の友人ができました。また、スリランカラグビー協会は熱心にラグビー普及活動に取り組んでいます。継続的な普及のために、今後は指導者の育成が重要になってくると感じました。後任の隊員の方には、私の情報や人間関係を受け継いでもらい、さらなるスリランカラグビーの発展に貢献して欲しいです。

スリランカは自然豊かで8つの世界遺産があり、全てに訪れました。他にも海でサーフィンやダイビングなど日本ではやったことのないスポーツにも挑戦しました。こういった息抜きや気分転換が充実した活動を行う原動力になったのだと思います。

2年間子供の成長を見守ってきましたが、私自身も指導者として、また人間的にも成長することができました。そしてラグビーとスリランカという国がさらに好きになりました。おすすめの旅行先を聞かれたらスリランカを紹介します。この経験を、ラグビー指導や、ワールドカップやオリンピックに際した国際交流イベントなどを通して還元していきたいです。